それは危険なラブミッション

黙り込む私のグラスに、ほとんど減っていない紹興酒が足される。


「僕の気持ち、莉夏さんには届かない?」

「……あの、私、」

「知ってる。東城寺ルイのことが好きなんだよね」


言おうと思ったことを先に言われてしまった。


「けど、彼とはこの先、一緒にいられないと思うよ」


西さんが言っていたことと同じことを岬さんも言っているのだ。
どこかで分かっていたことだけに、返す言葉が見つからない。


「多分、今頃急ピッチで鳥居さやかさんとの縁談が進められているはずだ」

「えっ……」


今、なんて?
ルイと鳥居さんの縁談……?


「驚かせちゃったみたいだね。僕と破談になったことをリークしたら、東城寺ルイの親族はその話に飛びついて来たよ。ちょうど結婚相手を探していたところに、条件の良い女性が転がって来たんだ。養子である以上、東城寺ルイは親族に逆らえない。何より、さやかさんは幼い頃から彼に憧れを抱いていたみたいだからね」

< 316 / 368 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop