それは危険なラブミッション
そんな……。
急に現実味を帯びてきたルイの結婚話が、私の胸を締め付ける。
岬さんの言っていることが嘘だとは思えなかった。
岬さんにルイと揃って呼び出された夜、ルイに急用だと連絡をよこした親族。
楽しそうにルイと話す鳥居さんの嬉しそうな顔。
西さんが私に釘を刺したのも、そんな話が進んでいたからに違いない。
「莉夏さんが悲しむようなことは言いたくないんだけど、深手を負う前に彼から離れた方がいいんじゃないかな」
「……ごめんなさい、岬さん。私、帰ります」
料理に何一つ手を付けないまま、立ち上がる。
バッグを持って足早にドアへ向かうと――
「莉夏さん、待って!」
不意に岬さんに後ろから抱きすくめられた。
弾みで落ちたバッグ。
「……行かないで」
腰に回された腕に力が込められる。