それは危険なラブミッション

「……そうなの?」

「……ああ」


恐る恐る聞き返すと、ルイは短く答えた。

岬さんは出まかせを言ったわけではなかったのだ。
ルイの口から“違う”と聞けることをどこかで期待していた私の、何ておめでたいことか。

きっと、その話は難なく進んでいくに違いない。
鳥居さんの気持ちはルイに向いている。
それに、ルイが何よりも望んでいたのは、東城寺ホテルの確固たる地位なのだから。

私は邪魔な存在だ……。
有頂天からの転落に、胸の奥がキリキリと痛み出す。


「……そっか。それじゃ、もう会わない方がいいよね」


その痛みを押して、明るく答えた。
湿っぽくなったら、ルイが負担に感じてしまう。

私はルイの前から消えた方がいい。
その考えとは裏腹に、鼻の奥がツンとして目が熱くなる。
でも、ルイの前で泣くわけにはいかない。
懸命に笑顔を作った。

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