それは危険なラブミッション
「ルイの後ろにある東城寺ホテルも、ルイの親族も、私には存在が大きすぎるよ……」
私に太刀打ちできるとは、とても思えない。
それに代わってまでの存在意義が、私には……ない。
「どうしたら、その不安を拭える?」
ルイが私の顔を覗き込む。
どうしたら……?
そんなの分からない。
乗り越えられそうにない壁を前にして右往左往。
抜け穴も梯子も見つけられなくて、ただ立ち尽くす。
そんな私の手をルイがおもむろに取った。
「行くぞ」
「……行くって、どこへ?」
ルイの足が向いたのは、外ではなく内側だった。
エレベーターに乗り込み、タッチしたのはパネルの3階。
ルイの部屋以外にない。
ギュッと握られた手から、ルイの熱が伝わってくる。
黙ったままのルイの横顔を盗み見て、胸の高鳴りが激しくなるのを感じた。