それは危険なラブミッション
「莉夏ちゃんは、こっちが恐縮するくらいにオムライスを愛してくれてるもんなぁ。料理人冥利に尽きるよ」
二人の会話を上の空で聞きながら、とっくに切れている携帯を見つめた。
親族に紹介……。
その言葉だけで、私を怯ませるには十分に足る。
鳥居さやかさんとの結婚を望んでいる親族にしてみたら、私はいわば敵。
その私を紹介されて、素直に受け入れてくれるとも思えない。
「神妙な顔しちゃって、今度はどうしたの?」
アルバイトくんに汚れた食器を託してきたらしい夕菜は、別のテーブルに行きかけた足を止めた。
暇な時間に突入したせいか、夕菜が私の隣に座っても、マスターのいつもの叱責は飛んで来なかった。
「ルイの親族にね、会うことになったの……」
どうしたって、口が重くなる。
「紹介するって?」
「うん……」