それは危険なラブミッション
私たちのことを逐一聞かされていた夕菜だからこそ、事の重大さを分かってくれたようだ。
うーんと唸ったきり考え込んでしまった。
総勢何人の親族に会うのかも、どんな顔ぶれなのかも、何も聞かされていないことが不安を煽る要素だった。
ルイがそばにいてくれるとはいえ、敵陣に一人乗り込むようなもの。
想像するだけで恐ろしいのに、これが現実になったら……。
背筋に寒いものが駆け抜ける。
「でも、その人たちを納得させないと、東城寺さんは政略結婚させられるんでしょ?」
……そうなるだろう。
コクンと頷く。
「それなら、やるしかないじゃない。会って、納得してもらうしかない」
「……そんな簡単にいく?」
「いかない」
「――だよね」
「当り前でしょう? 相手が相手なんだから、一筋縄でいくと思わない方がいいよ」
分かっていたことだけれど、夕菜に言われて、改めて頭にドーンと重石を載せられた気分だった。
一筋縄ではいかない。
覚悟は……できた……と思う。
ルイがセッティングしてくれた場だ。
私なりに精一杯頑張ろう。
それしかない。
頼りない決意を胸に、ドリアを口に運んだ。