それは危険なラブミッション
「いいか?」
聞きながら扉に手をかけるルイに、唇を噛みしめて頷いた。
重そうな扉がゆっくりと開く。
中から漏れる光に眩んだ目を一瞬閉じる。
そして、そっと瞼を持ち上げた私の目には、信じられない光景が映った。
古いお城にでも置いてありそうな果てしなく長いテーブルには、待っているはずの親族の姿がなかったのだ。
誰一人として。
……どういうこと?
ルイも私と同じようにキツネにでもつままれたような様子だった。
「ルイ様」
そこへ、西さんが腰を低くしながら現れた。
「西、これは一体……」
「誠に申し訳ございません。皆様はこちらにはお越しになりません」
「どういうことだ」
「それはですね……」
西さんが私をチラリと見やる。