それは危険なラブミッション

「そして、ルイにそれを退ける権利はない」


確か、岬さんも西さんも似たようなことを言っていた気がするけれど……。


「……どうしてですか?」


ルイは東城寺ホテルグループのトップ。
その彼に権利がないとはっきり言えてしまう理由が、今一つ理解できなかった。

ルイの叔母様が怪訝な顔をする。
本当に分からないの? とでも言いたいように見えた。


「彼が養子だということは?」

「……はい、知っています」

「それならば簡単でしょう。彼には負い目がある」

「負い目、ですか……」


分からなくもなかった。
東城寺家とは何の関わりもない自分を引き取って育ててくれた。
その上、大企業の社長の座まで譲られたのだ。
感謝というよりは、負い目の方が正しいかもしれない。

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