それは危険なラブミッション

「東城寺の人間になったときから、彼は東城寺ホテルグループの発展という重要な役割を担っているの。つまり、それに反するようなことがあれば、社長の座は明け渡さなくてはならないということになるわね」

「えっ……社長を、下りる……?」


随分と唐突な話だ。
どうしてそうなってしまうのか。


「彼は、政略結婚をするためだけに東城寺家へ来たのよ」

「――っ」


そんな……。
両親と生き別れという辛い幼少期を過ごしたのに、新しく迎えてくれた家族は、ルイを道具のようにしか思っていなかったなんて……。

いつも自信に満ち溢れているルイからは、想像もつかないことだった。
何でも自分の思い通り。
好き勝手に生きて来たわけじゃない。
毎日のように夜遅くまで忙しそうにしていたルイを思い出して、胸が痛む。
その姿は、決して飾り物の社長なんかじゃなかったから。


「彼を社長から引きずり下ろしてまで一緒にいたい?」

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