それは危険なラブミッション
◇◇◇
それから数日、表面上は平穏な日が過ぎていった。
その裏でいろんな思いを抱えていることは、ルイはもちろん、誰も知らない。
仕事が忙しいのか、ルイとは電話で話すことすらできていなかった。
店に出ているときは気を紛らわせても、家に帰って一人になってしまえば、ルイの叔母様に言われたことばかりが頭を占領する。
ゆっくりしようと淹れたはずの熱いコーヒーも、テーブルの上ですっかり冷めてしまった。
……淹れなおして来よう。
そう思って、ソファから立ち上がったときだった。
バッグの中で携帯が着信音を響かせる。
ルイだったら、何を話したらいい?
声は聞きたい。
でも……。
暗雲立ち込める二人の未来に押しつぶされそうになる。
携帯を手に取ると、ディスプレイには“非通知”の文字。
何だろうと思いつつ指をスライドさせ、耳に押し当てる。
ところが、「はい」と応答してみたものの、相手は無反応。
「……もしもし?」