それは危険なラブミッション

『抱いてください』


――え?
耳を疑いたくなる鳥居さんの言葉に絶句する。


『さーちゃん、よせ。服を着るんだ』

『イヤです。お願いですから』


……服を……着る?

嫌なシーンを想像して胸が痛くなる。
ドサっというベッドにでも倒れ込むような音が聞こえた直後、聞いていられなくて電話を切った。

ちょこんと端っこに腰を下ろしていたソファから、フロアに崩れるように滑り落ちた。

放心状態から覚めると、聞こえてきた会話をどうしたって思い出してしまう。
二人の様子から、鳥居さんがルイに裸同然で迫っているのは明白だった。

あの電話は多分、鳥居さんの仕業。
私にわざと聞かせるために掛けてきたのだ。

ルイを信じないわけじゃない。
でも、あの状況で今頃二人がどうなっているかを考えたくもなかった。

捨て身でルイを奪いに来た鳥居さんに、私はなす術もないのだった。


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