それは危険なラブミッション
「私ね、ルイよりもお金を取ったの」
「……何の話だ」
「ルイから身を引いたら、2千万円の借金はなかったことにしてくれるって、」
「誰にそんなことを言われたんだ」
「ルイの叔母様、確か律子さんって言ったわ。彼女がお店に来て、そんな条件を出されたの」
ルイの顔に影がさす。
叔母様の力は、ルイにとって恐れるべきものなのかもしれない。
「だから、私、快諾したの」
「借金は、岬の縁談を壊した時点でなくなってるだろ」
「――っ」
ルイの指摘に息を呑む。
けれど、ここで怯んだら、またルイに押されてしまう。
「そうかもしれないけど、それ以前に、私、ルイの親族の中でうまくやっていく自信なんてないもの。ルイとうまくいったら玉の輿だなんて、ちょっと夢見てただけの軽い気持ちだったし」
自分でも驚くほど酷い言葉をルイに浴びせた。