それは危険なラブミッション
⑤目的のためならば手段を選ばない主義
「今日は、たらこスパをもらおうかな」
「この頃、めっきりオムライスを食べなくなったね、莉夏ちゃん」
お馴染みの木漏れ日での夕食。
パタンとメニューを閉じると、マスターが少し残念そうに笑う。
「さすがに飽きたのかい?」
「そういうわけじゃないの。マスターの料理はどれだって美味しいから、味わっておかなきゃ損でしょ?」
「おぉ、莉夏ちゃんもようやく分かってくれたか」
「ほんっとマスターって簡単よね」
喜ぶマスターの脇腹を夕菜が小突く。
「お世辞だって気付かないんだから」
「なんだとぉ? 夕菜は少し莉夏ちゃんを見習って、素直になった方がいいぞ」
「大きなお世話よ」
応戦は不発。
もう一つおまけに足を踏まれたのか、マスターは「痛っ!」と小さく悲鳴を上げたのだった。