それは危険なラブミッション
何か変なことでも言っただろうかと首を傾げると
「遠慮なしにそうやって突っ込んでくれると、親密さが増したようで妙に嬉しいよ」
……そういうつもりはないのだけれど。
岬さんは何だって自分に好意的に物事を考えるようで、特に私に関することはこちらが思いもしない展開に捉えてしまう点には正直困ってしまう。
そういったことを踏まえて気を付けて話をしているつもりでも、思わぬところで揚げ足を取られた的な言葉を返されるのだ。
「いらっしゃいませ」
お水を運んできた夕菜に紳士的な笑みを返す。
「岬さんは、すっかり莉夏にご執心ですね」
余計なことは言わないでほしい。
この頃の夕菜ときたら、この際、岬さんで手を打ってしまえばいいのにとまで言う始末。
「そうなんですけどね、莉夏さんもなかなか手強くて。僕なら、親族からダメ出しなんてさせないんですけどね」
岬さんも岬さんで、そんなことを言うのだから。
手強いも何も、私の中のルイの存在は、あの日から姿を少しも変えずにそこにあるのに。
私の想いは、今もあの日で立ち止まったまま。
そんな状態で、他の誰かを受け入れるにも、風の入る隙間すらないのだから。
その存在が小さくなる方法があるのなら、どうか教えてほしい。
そう思う裏側で、ルイを消したくないという矛盾する気持ちも抱えていたのだった。