それは危険なラブミッション
◇◇◇
「送っていくよ」
木漏れ日を出た私を追いかけて、岬さんも店を出る。
路駐された真っ赤なスポーツカーに私の手を引いた。
「一人で平気です」
そう言ったところで諦める岬さんではない。
「立っている者は親でも使えって言うでしょ? 乗れる物は何でも乗ってしまえってことだよ」
こじつけのような例えを出して、半ば強引に私を助手席へ乗せた。
このパターンも、この頃の常だった。
「今更だけど、これ、返しておくよ」
乗り込んですぐに岬さんが私に差し出したのは、あの携帯だった。
俺専用だと言ってルイに手渡された、あの携帯。
「捨てるに捨てられなくてね」
なかなか手を出さないでいると、岬さんは私の手を取って掴ませた。