それは危険なラブミッション

ケープホテルに置き忘れた直後にルイが解約をしたはずだから、ルイとの繋がりは完全に断ち切られている。
ガラクタも同然の携帯だ。

でも、こうして目に見えるものとしてルイとの繋がりが確かにあったという痕跡は、ガラクタ同然でも私にとってはかけがえのないものだった。


「そろそろ、僕とのことを考えてくれる気にならない?」


車を発進させた岬さんが、前を見ながら問いかける。


「さっき夕菜さんにも言ったけど、僕なら誰にも文句は言わせないよ。莉夏さんがいる以上、政略結婚なんて手を使って会社を大きくしようとは思わないしね」


本人には自覚はないのかもしれないけれど、僕はルイとは違うと言っているようだった。

ルイだって、そうだった。
私を離さないと言ってくれたときのルイは。

ただ、それが叶わなかっただけ。
そしてそれは、ルイにはどうにもできないことだった。


「……岬さん、ごめんなさい。私、」

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