それは危険なラブミッション

「ストップ! お断りの返事なら、僕は聞かないよ。それなら僕の質問はスルーでいい。OKの返事ができるときになったら聞かせてもらうから。それまで待つつもりだしね」

「私、おばあちゃんになっちゃうかもしれない」

「それでもいいよ。例え、それが人生ラストの日だとしても、最後に僕のものになってくれるのならね」


岬さんは屈託のない笑みを浮かべた。

思い起こせば、岬さんはいつだって紳士的だった。
一時、危うい感じのするときもあったけれど、それは、私がした最低の所業所以。
本来の岬さんは、美しい紳士なのだ。
私が待たせるような人じゃない。

でも……
どうしたってルイがチラつく。

決して物怖じしない、自信に満ち溢れたルイの顔が消えてくれない。

今夜もまた、岬さんに曖昧な笑顔で答えるしかない不甲斐ない私。
そして、こうしてまた手元に戻ってきたルイ専用携帯をギュッと握り締めて、窓の外を流れる景色に目を逸らしたのだった。

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