それは危険なラブミッション
「結婚に興味はない。ただ、いつかは会社のために、俺も岬碧衣のように政略結婚という形を選ばずにはいられないだろう。むしろ、そうするつもりでいる。結婚に愛だの恋だの、そんなものは不要だ。そして、そのときはランク下のホテルじゃなく、世界に目を向けるつもりだ」
私の心の内を読んだのか、東城寺ルイは自分の結婚観を披露したのだった。
やっぱり住む世界が違う人だと思わざるを得ない。
結婚を仕事の延長上としか捉えていないのだから。
少し哀れだと思ってしまう私が子供なんだろうか。
「それで、決意に揺らぎはないな?」
東城寺ルイの確認に、ゆっくりと頷く。
もう後戻りはできない。
東城寺ルイが自分のホテルの地位を守るためなら、私はこの店を守るためだ。
「よし。では、早速だが、二人の出会いの場を用意した。そこに招待状が入っているはずだ」
言われて確認してみると、確かに招待状らしきものがあった。