それは危険なラブミッション
「ホテルへの出店を考えているということにすればいい」
「――ホテル内に出店!?」
「将来有望な雑貨店のオーナーというわけだ」
雑貨店のオーナーに間違いはないものの、将来が有望でも、ホテルに出店できるわけもない。
不安がますます広がる。
「あまり気負うな」
「……気負います」
「そんなに気難しい顔をしていると、岬碧衣に逆に逃げられるぞ」
「……だけど、どうやって気を引いたらいいのか」
私にはさっぱり分からない。
恋愛はすっかりご無沙汰。
大学時代はともかく、会社勤めを始めてからは、それこそ恋愛よりもお店を持つために“貯蓄命”できてしまった。
つまり、恋愛下手。
その一言に尽きる。
どうやったら恋に発展するのかすら、とうの昔に忘れてしまった。