それは危険なラブミッション
「これを着ていくといい」
私に合わせるようにかざす。
「えっ……」
「なんだ、気に入らないのか」
「そうじゃなくて。……こんなものまで用意されてるなんて思わなくて」
「必要経費だ」
何でもないことのように言う。
確かに、大企業の社長ともなれば、このくらいの出費は痛くも痒くもないだろう。
けれど……
「自分で用意するから結構です」
そこまでされたくはない。
債務者のプライドだ。
「人の好意は快く受け取れ」
「いえ、本当にいいです」
「いいと言ってるだろう」
「いらないですってば」
ワンピースを間にして、押し問答が続く。