それは危険なラブミッション
何なんだろうか、この人は。
わざわざそこを突っ込む必要が?
どうしてそこまで呼び捨てにこだわる?
「これからも、岬碧衣を口説き落とすには経費も掛かるだろう。他にも何か必要なものがあれば、いつでも言うといい」
封筒を手でやんわりと拒絶し、仮面なのか本当の姿なのか、紳士的な笑みを浮かべた。
「これ以上、二人でいるのは危険だな。そろそろ行くぞ」
「――待ってください、東城寺さん!」
背を向けて歩き出した東城寺ルイを呼び止める。
けれど、完全なる無視。
「東城寺さん!」
何度呼んでみてもダメ。
こうなったら……。
「ルイ!」
そこでようやくピタリと足を止めた。
振り返って、ニヤリと笑う。
なんだか負けた気分だ。