それは危険なラブミッション
「これだけはどうしても受け取って」
私はこれでも諦めが悪い方だ。
封筒をルイの胸元めがけて突き出した。
ルイがほんの少しだけ目を細めて鼻を鳴らす。
「……なかなか強情だな」
何とでも言ってもらって結構だ。
「まぁ、そこまで言うのならいいだろう」
やっと受け取る気になったらしい。
その封筒を胸元に入れたのだった。
さて、岬碧衣はどこだろうか。
彼の顔は写真を見て叩き込んできた。
プロフィールに記載されていたところによると、長身のはず。
副社長という肩書もあるくらいだから、これだけセレブが集まる中でも目を引くに違いない。
戻った会場内で視線を彷徨わせると、目標の人物らしき顔を左手奥に見つけた。
その途端、じわりじわりと緊張が高まる。
ゆっくり足を進めたものの、本人にどう近づいたらいいのか分からない。