それは危険なラブミッション

一瞬静まり返った会場内。

やっちゃった……。
こんなときに何をやっているんだろう。

すぐに静けさは消えたものの、絨毯に赤ワインの染みも作ってしまい、ウエイターを探そうと顔を上げたときだった。


「大丈夫ですか? お怪我は?」


――っ。
思わず言葉を失う。
幸か不幸か、私に手を差し伸べてきたのは、あの岬碧衣だった。

大事な出会いの演出の最中、失態をした私を神様は見放したりしなかったのだ。

ポカンと見上げるばかりの私に、岬碧衣が首を傾げる。


「――は、はい……大丈夫です」

「そうですか、良かったです。――あ、汚れてしまいましたね」


言われてドレスに目を落とすと、裾の一部が絨毯同様に赤く染まっていた。

……いっけない。
私としたことが……。


「すぐに落とさないと、素敵なドレスが染みになってしまいますよ」

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