それは危険なラブミッション

それにしても広い。
スイートルームなんて初めて入ったせいで、ついキョロキョロとはしたなく見てしまう。
そんなところもセレブ感ゼロだ。


「……じゃ、そういうことでよろしく」


何を話していたのかまでは聞き取れなかったものの、何かを手配しているのは伝わってきた。


「すぐに来るから、座って待ってて」


すぐに来るって、一体誰が?

何を言っているのか理解に苦しむまま、言われた通りにソファの隅っこに腰を下ろした。


「あの……パーティの方はいいんですか?」

「そんなことは気にしなくていいよ。あんなのは形ばかりだから」

「そう、ですか……」


そうは言うものの、今頃きっと探しているだろうに。
あれほどの取り巻きに囲まれていたのだから、岬さん目当てに来た招待客だっていただろう。

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