それは危険なラブミッション
達哉くんも麻緒ちゃんも、そして私も、つい呆気に取られて彼の様子を窺っていると
「ここのオーナー、松崎莉夏という女性はキミ?」
不意に麻緒ちゃんへと質問が投げかけられた。
「ち、違います」
麻緒ちゃんが、胸の前で大きく振った両手でそのまま私を指す。
「こちらです……」
男性の眼差しが優雅にゆっくりと私へと向けられた。
「……松崎は私ですが……」
一体誰?
どんな用事なんだろう。
リムジンを乗り回すようなセレブと私に接点があるとは到底考えられず、若干の緊張と疑問符を抱えて彼の言葉を待つ。
その男性は私へ一歩近づくと、スマートな仕草で自分の胸元に手を入れた。
すぐに出された手には名刺。