それは危険なラブミッション

岬さんがもう一度深く頭を下げる。


「あのっ、頭を上げてください。ホテルのせいだなんて、全然思っていませんから」


その頭を慌てて上げてもらった。

律儀で真面目。
岬碧衣という人物は、きっとそんな人なんだろう。

私がそう答えても、“加害者”という姿勢をなかなか崩してはくれなかった。

きっとここで私がクリーニングをお願いしなかったら、岬さんは更に責任を感じてしまうに違いない。
100％私のミスだと思いながらも、そうしてもらうことにしたのだった。

岬さんから受け取った洋服に着替え、部屋の外で待機しているスタッフに私のものを手渡すと、再び部屋へと戻る。


「あの、このワンピースって……」

「気に入ってもらえなかったかな」

「あ、違うんです。……新品ですよね？」


ライトブルーのAラインのワンピース。
生地は多分……シルク。
サイズはピッタリというわけではないけれど、ノーブランドものでも明らかに高級そう。