それは危険なラブミッション
遠慮なくカップを持つと
「コーヒーはブラック派?」
「はい、そうです」
ふと見ると、岬さんのソーサーにはミルクと砂糖を置いてすらいなかった。
「岬さんもですか?」
「僕もそう。ミルクと砂糖を入れると、コーヒー本来の味が分からなくなるからね」
「そうですよね」
「といっても、これはインスタントだから味のことをどうこう言っても仕方ないけどね」
岬さんが柔らかく微笑んだ。
決して比べるわけではないけれど、東城寺ルイとの人柄の違いをどうしても感じてしまう。
東城寺ルイとは今日も含めて3度しか会ったことはないけれど、初めから横柄で、ご都合主義で自分勝手。
良いところの一つも挙げられないときている。
それに引き替え、岬さんの紳士的な人柄といったら言うまでもない。
……と、比べるわけではないと言いつつ、しっかり比べてしまっている私。