それは危険なラブミッション
④略奪の手ほどき
閉店まであと少しということろで滑り込んだ木漏れ日。
見慣れない私の格好に、マスターも夕菜も口をあんぐりだった。
「馬子にも衣装というやつだね、莉夏ちゃん」
「……言うと思った」
マスターの反応は予想通りだから、全く堪えない。
むしろ、スルーされるよりはよっぽどいい。
「マスターってば意地悪ね。莉夏はちゃんとすれば、この通りの美女なのよ」
ね? と夕菜が私の肩に手をのせる。
「素材はいいんだからって、私の言った通りでしょう?」
私の耳元で囁く。
そう言ってくれるのは夕菜くらいのものだ。
美女という言葉も、素材はいいという言葉も、私には全く不釣り合い。
確かに、着飾ってから鏡を見て、自分でも驚いたのは事実だけれど。