それは危険なラブミッション
「はぁ、疲れた」
大きな溜息を吐いて、カウンターにドーンとお尻を預けた。
「綺麗に着飾って、一体どこへ行ってきたの?」
「例の提案」
「……例の提案?」
トレーを抱えて立ったまま、夕菜が視線をぐるりと宙に投げる。
そして、ジェット機も顔負けというくらいの猛スピードで、その視線が私の方へ帰って来た。
隣の椅子を引いて座ると、私の方へ引き寄せる。
「こら、夕菜。もう閉店の準備だぞ」
マスターに言われても、どこ吹く風。
いつも同様に、「アルバイトくんたちがいるでしょう?」と言い放った。
マスターも一度は注意するものの、それ以上は夕菜の性格上危険と判断しているのか、「へいへい」と退散してしまった。
「それで、どうだった?」
「……とりあえずは、知り合えた」