それは危険なラブミッション
そっと差し出されたそれを両手で受け取る。
……東城寺ホテル?
って、あの東城寺……?
名刺を見てすぐに思い浮かんだのは、日本でナンバーワンの地位を確立していると名高い高級ホテルチェーンだった。
「東城寺ルイと申します」
目線だけ少し下げる。
……東城寺ルイ。
もう一度名刺に目を落とすと、“CEO”とあった。
ということは、この人が社長――?
大企業なだけに、あまりにも若い代表に少なからず驚いてしまった。
それにしても、そんな畏れ多い人が私に一体何の用事で……?
身に覚えは全くない。
「あの……一体どのようなご用件でしょうか……」
「では、早速本題に入りましょう」
男性は後ろへ視線を投げかけると、「西」と声を発した。