それは危険なラブミッション

そっと差し出されたそれを両手で受け取る。


……東城寺ホテル?
って、あの東城寺……?


名刺を見てすぐに思い浮かんだのは、日本でナンバーワンの地位を確立していると名高い高級ホテルチェーンだった。


「東城寺ルイと申します」


目線だけ少し下げる。


……東城寺ルイ。
もう一度名刺に目を落とすと、“CEO”とあった。

ということは、この人が社長――?
大企業なだけに、あまりにも若い代表に少なからず驚いてしまった。

それにしても、そんな畏れ多い人が私に一体何の用事で……?
身に覚えは全くない。


「あの……一体どのようなご用件でしょうか……」

「では、早速本題に入りましょう」


男性は後ろへ視線を投げかけると、「西」と声を発した。

< 8 / 368 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop