それは危険なラブミッション
私のせいで夕菜の時給が下げられたりしたら大変だ。
それこそ、夕菜から私へ請求がこないとも限らない。
「ごめんなさい、マスター」
慌てて謝ったものの
「あら、マスター、今のはパワハラよ?」
夕菜は全く意に介さない。
それどころか、強烈な右フックをマスターにお見舞いしたのだ。
「ったく、世知辛い世の中になったものだよ、なぁ、洋輔くん」
マスターはシュンと眉尻を下げ、学生のアルバイトくんの肩に泣きついたのだった。
「さてと、本題ね」
夕菜がもう一度私に向かい合う。
「莉夏に、略奪の手ほどきを授けるわ」
「りゃ、略奪の手ほどき!?」
なんとも生々しい。
思わず身体を引こうとした私を、夕菜がガッチリと引き留めた。
そして、美しすぎる顔で妖艶に微笑む。
「まずは――……」