それは危険なラブミッション
長時間乗っていても疲れなそうな、程良いホールド感。
さすがはセレブご用達の車だ。
運転席との間も仕切られていて、完全なるプライベート空間になっている。
そうして感心しているうちに、車は既に発進していたらしい。
窓の外を景色が流れていることで気付くという鈍さ。
それだけ、走り出しも滑らかだった。
もしくは、西さんの運転技術が素晴らしいのか。
どちらにせよ、死ぬまで乗ることのなかったであろうリムジンに乗れたことは、一緒にいるのがルイだということを差し引いても、余りあるものだった。
「それで、岬蒼衣はどうだった」
ルイは足を組み替えて、私へとほんの少し身を乗り出した。
「どうって……。いい人だった」
「好印象というわけか。その紙袋は、確かケープホテルにも入ってるセレクトショップのものだな」
しげしげと紙袋を観察してから、ルイが尋ねた。
「うん」