それは危険なラブミッション
Mission2
①隠し持った作為で微笑む
小鳥がさえずり始めるのと同じ頃、私もベッドの中で目覚めた店休日の朝。
普段なら、休みの日は時間に構うことなくゆっくりと過ごす朝だけれど、今日はそうしてもいられない。
朝食もコーヒーブレイクもほどほどに。
いつもよりも念入りに施したメーク。
少し気張った洋服。
準備が整ったところで、いざ部屋を出た。
バッグから岬碧衣の名刺を取り出す。
向かう先は――……
ケープホテル本社だ。
そこへ乗り込もうというわけでは、決してない。
夕菜直伝の略奪の手ほどき第1弾。
それを実行に移すべく、向かっているのだった。
第1弾、それは、とにかく顔を売り込め、ということだった。
偶然を装ってでも、わざとらしくでも、とにかく顔を合わせる回数を増やせというのだ。
好意を持っていることがバレバレでも構わないらしい(私の場合は、好意というより作為なのだけれど)。
逆に、その方が好都合だというのだ。
そしてその時に肝心なのが、ベストなルックスで会うことだと夕菜は力説する。