それは危険なラブミッション
会うときはトップギア。
常に初デートのように気合を入れることだと。
そういうわけで、自分なりにいつもよりオシャレをして来たのだった。
ところが、いざケープホテル本社前に着いたところで、すぐに岬碧衣と簡単に会えるはずもなく、入口が見通せるファストフード店で待ち構えてみることにした。
ホットコーヒーを片手に見つめ続けること2時間。
もうほとんどの社員たちは出勤してしまっただろう。
何度となく高級車両が停車する中、目を見張ってみたものの、さすがに副社長ともなれば重役出勤なのか、岬さんはなかなか姿を現さない。
もう少し待ってみようかと、3杯目のホットコーヒーを注文しようと立ち上がったところで、ふと思い出したことがあった。
“一日に一度は来てるかも”
確か、そう言っていた気がする。
仕事が嫌になったときに逃げ込む部屋。
そう言って笑ったことを思い出したのだ。
ケープホテルのあの部屋だ。
あそこなら、ここよりも確実に会える気がする。
空の紙コップをゴミ箱に捨て、ファストフード店を後にした。