遥か~新選組桜華伝~
「ほんっと遥は冷たいな。まぁ、うちは新政府軍の血筋だもんな。おまえが興味ないのも仕方ない…」
「いや、そういう意味じゃないんだけど」
ただ単に聞き飽きただけ。
……なんて口が裂けても言えないけど。
酔っ払ったお父さんのことだもん。
そんなこと言ったら、絶対キレるに決まってる。
そっちの方が面倒だから、言い返さないでおこう。
「そうだよな、やっぱりご先祖様の話が聞きたいよな」
うんうん、と勝手に一人で納得してるお父さん。
まぁいいか……。
珍しく何も言わずにいると、お父さんはますます上機嫌になる。
「よし、今日はそんな遥に特別にいいものを見せてやる。
市川家に代々伝わる秘宝、桜華石だ!
道場の俺の部屋にあるから取ってきてなさい」
「桜華…石…?」