遥か~新選組桜華伝~


「斎藤さんはお団子が好きなんですか?」


私も問いかけてみた。


すると…急に斎藤さんの顔から笑顔が消えて。


「まあな」


それだけを言って、黙り込んでしまう。


和やかな雰囲気が一変、流れる沈黙。


あれ…?

私…もしかしてまずいこと言っちゃった?


「斎藤さん…!
私…良くないことを言ってしまったんですね。すみません!」


慌てて前を歩く背中に謝りかける。


「…そんなことない。気にするな」


斎藤さんはそう言ってくれたけど、表情は固いままだった。


「大丈夫だよ。隊長は冷静なだけだから」


会話の中にいた隊士がフォローしてくれた。


冷静って言っても……。


他の隊士には笑顔を見せたりするのに、私が話しかけても、視線すら合わせてくれない。


気のせいだといいけど……。


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