遥か~新選組桜華伝~









それから半月ほどの月日が流れた。


私は永倉さん、斎藤さん、沖田さんの隊の巡察に同行する日々を続けていた。


明るくて情に厚い永倉さん。

そして、沖田さんとの巡察はうまくいっていた。


けれど…斎藤さんは私に冷たいままで。


「斎藤さん…!巡察お疲れ様でした」


「…お疲れ」


挨拶しても、振り向きもせずに屯所の中に戻っていく。


その背中を見つめ立ち尽くしていると、斎藤さんの後ろを、隊士が追いかけていくのが見えた。


「隊長隊長ー!今日も稽古してくださいー!」


「わかったから。そんな大声出すなよ」


隊士に向ける穏やかな表情を見て思う。


気のせいなんかじゃない…。


斎藤さんが冷たいのは…私にだけだ。


もしかして私…嫌われてるのかな…。


中に入る気にもなれず、トボトボと中庭に向かう。


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