遥か~新選組桜華伝~
コクンと頷くと、原田さんは「いい子だ」と頭を撫でてくれた。
私を見つめる表情や撫でる手つきがすごく優しくて、心が温かくなる。
原田さん……。
私にお兄ちゃんがいたらこんな感じなのかなって思ったんだ。
「よし、そうと決まれば参加者を集めないとな。
総司、夜に遥ちゃんを広間に連れてきてな」
原田さんは片手を上げながら、屯所のほうに戻っていった。
その背中を見送りながら…
「まったく…。
新選組の宴に遥さんを呼ぼうなんて…」
沖田さんは片方の眉を下げながら呟くと、しゃがみ込んで私を覗き込んでくる。
「宴の間は僕の隣から離れないでくださいね?
新選組は酒癖が悪い人が多いですから」
口を尖らせながら、じっと私の目を見つめてくる。
私を映した瞳が不安げに揺れた。
沖田さん……。
心配してくれてるんだ。