遥か~新選組桜華伝~









その夜。


私は沖田さんに連れられて、原田さん主催の宴に参加していた。


大広間に入るなり、お酒の匂いと隊士達の騒がしい声に包まれる。


すごい人……!


屯所内で一番広い部屋と言っても、数十人も人がいれば歩く場所もない。


入口で立ち尽くしていると…


「お疲れさまです」


沖田さんが挨拶して、部屋の端っこで飲んでいる隊士達の輪に加わった。


私も隣に…。


沖田さんの方へ足を踏み出そうとすると…


「おーい遥!!」


離れたところで、永倉さんが手を振っている。


そこには原田さん、平助くん…斎藤さんもいて、円になってお酒を飲んでいた。


「遥ちゃん、ここにおいでよ」


原田さんが自分の隣の畳をポンポンと叩く。


「えっ、あの…私…」


沖田さんから傍にいるようにって言われてるし…。


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