遥か~新選組桜華伝~
ドクン……!
不意に心臓が鳴って、鼓動が速くなる。
”その石はね、桜華石って言うんだよ”
”おうか…せき?”
あれ……?
これって………
記憶の奥深く。
桜の花びらが舞う、遠い日の景色が浮かび上がる……
桜華石という石を、私は知ってる……?
「なんだ、難しい顔して。秘宝を見たくないのか?」
……っ!
「み、見たいです!取ってきます!」
「おう!頼んだぞ!」
笑顔のお父さんに手を振られて、部屋を後にした。
私……。
なんか、すごく大事なことを忘れている気がする。
それを思い出せそうな気がしたのに……
「……っ」
もう、お父さんのバカ!
考えてる途中に話しかけるから。
秘宝秘宝って……。
歴史を好きなのも、ご先祖様が好きなのも勝手だけど、私にまで押しつけないでほしいよねっ。