遥か~新選組桜華伝~


「このお酒すっごい美味しいのに。一も飲もうよー」


平助くんが酒ビンを見せながら、斎藤さんに詰め寄っていく。


「だからいらないって言ってるだろ」


そっぽを向いた斎藤さんの顔の前に、大きめの湯飲みを差し出したのは…


原田さんだった。


「……っ」


斎藤さんの目が驚いたように見開かれる。


「お酒は付き合いも大事だろ?
おまえと平助は幹部でも最年少なんだし…飲めよ」


そう言って、原田さんが無理矢理湯飲みを斎藤さんの口に運ぶ。


「ちょ…やめろ…っ!」


必死に抵抗していた斎藤さんだったが…


ゴクン…


飲まされたと同時にガクッと崩れ落ちる。


「おー…!一気にいったな…!
左之助は野郎に厳しーなー…!」


永倉さんが頭を掻きながら呟く。


「当たり前だろ?
"女子に優しく野郎に厳しく″ってのが俺の正義だからな」


原田さんが斎藤さんの肩を支えながら微笑んだとき。


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