遥か~新選組桜華伝~


「ん…」


それまで眠っていた斎藤さんが、ゆっくりと瞼を開ける。


「斎藤さん…大丈夫ですかっ?」


慌てて斎藤さんを覗き込むと…


ギュッ


「えっ…!?」


斎藤さんは真っ赤な顔で、私の着物の袖を掴んできた。


「あ、あの…斎藤さん…?」


おそるおそる問いかける。


斎藤さんは私の着物の袖を掴んだまま、うつむいているだけで…。


「おい一?どうしたんだよ?」


平助くんが心配そうに斎藤さんの肩に触れる。


けれど…返事はなかった。


「平助くん…どうしよう。
斎藤さん、やっぱり具合悪いのかな?」


「うーん…医務室連れて行ったほういいかもな」


平助くんが頭を抱えながら呟いたとき。


「はる」


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