遥か~新選組桜華伝~


「じゃあ俺のことも″一″って呼んでよ」


そう言って、斎藤さんは私の髪に振れた。


「あ、あの…!」


「呼べよ。″一″って…」


どうすればいいの…っ!


「お願いです…元に戻ってくださいっ…

…一さん!!」


腕を押し返しながら、必死に叫んだ。


すると…。


「…ふっ」


斎藤さんが微笑するのが見えたかと思うと、私に向かって倒れこんできて。


「え…っ?」


だ、抱きついてくるっ!?


びっくりして動けずにいると…横からグイッと腕を引かれる。


「きゃ…っ」


視界が揺れ動いた先には…


「まったく…困った人ですね。

……僕の傍にいてくださいって言ったでしょう?」


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