遥か~新選組桜華伝~


そう言って穏やかな笑みを浮かべる……


「沖田さん…」


私は…沖田さんの腕の中にいたんだ……。


「うわぁあああ!」


急に聞こえた叫び声に下を向くと


「ちょ…一!重いって!」


斎藤さんが平助くんを押しつぶしながら倒れている。


平助くん……っ

ちょうど私の真後ろにいたから……。


「大丈夫っ?」


慌てて駆け寄ろうとしたはずが……


沖田さんに腕を掴まれて引き戻される。


「……っ?」


沖田さんの腕の中で、彼の目が三日月のように弧を描くのが見えた。


「酔った一はオオカミですよ?
これ以上遥さんを危険にさらすわけにはいきませんね」


なんて冗談ぽく言うと…沖田さんは私を軽々とお姫様抱っこする。


「お、沖田さん…?」


広間にいた隊士達が驚いた顔でこちらを見ていた。


< 114 / 276 >

この作品をシェア

pagetop