遥か~新選組桜華伝~
そう言って穏やかな笑みを浮かべる……
「沖田さん…」
私は…沖田さんの腕の中にいたんだ……。
「うわぁあああ!」
急に聞こえた叫び声に下を向くと
「ちょ…一!重いって!」
斎藤さんが平助くんを押しつぶしながら倒れている。
平助くん……っ
ちょうど私の真後ろにいたから……。
「大丈夫っ?」
慌てて駆け寄ろうとしたはずが……
沖田さんに腕を掴まれて引き戻される。
「……っ?」
沖田さんの腕の中で、彼の目が三日月のように弧を描くのが見えた。
「酔った一はオオカミですよ?
これ以上遥さんを危険にさらすわけにはいきませんね」
なんて冗談ぽく言うと…沖田さんは私を軽々とお姫様抱っこする。
「お、沖田さん…?」
広間にいた隊士達が驚いた顔でこちらを見ていた。