遥か~新選組桜華伝~


「うぅ…」


しゅんとなってうつむいていると、沖田さんは私の手を取る。


「でも…覚悟してくださいね?」


「……えっ?」


「必ず貴女を振り向かせますから」


そう言って、沖田さんは私の手に口づける。


「沖田さんっ……?」


声が裏返ってしまい、ドキドキと羞恥で心が壊れてしまいそうになる。


口づけたまま…少し意地悪に笑って見せる沖田さん。


唇が触れた指先から全身に熱が伝わっていく。


「あ、あの……」


恥ずかしさに堪えられなくて…着物の袖で顔を隠していると、沖田さんにその手をどけられる。


「そんな可愛い顔されたら…もっと意地悪したくなっちゃいますよ」


きらきらの笑顔で見つめてくるんだもん。


「…~っ!
沖田さんのばかっ」


思わず叫ぶと、沖田さんがクスッと笑うのが聞こえたんだ。


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