遥か~新選組桜華伝~


「斎藤…さん…?」


予想外な言葉にキョトンとしてしまう。


斎藤さんは私のことが嫌いだったはずだ。


それなのに……


話しかけてもいいの?


「なんで驚いてるんだ?
…何かおかしなこと言ったか?」


斎藤さんは眉をひそめながら尋ねてきた。


「驚きますよ。
…だって私、斎藤さんに嫌われてるんでしょう?」


「どういう…ことだ?」


今度は斎藤さんがキョトンと目を丸くする。


「斎藤さんは…私が話しかけても、いつも冷たいです。
他の人とは楽しそうに話してるのに…」


「……っ」


話を聞く表情が青ざめていく。


そのまま、斎藤さんは額を押さえため息をついた。


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