遥か～新選組桜華伝～

「嫌いだからじゃない」


「え？」


「女が苦手なんだ。どう接していいのかわからない」


「斎藤さん……」


気まずそうにうつむく斎藤さんを見ていると…


「ふふっ」


自然と笑みが零れてきたんだ。


「クスッ…ふふふ」


「…なんで笑ってるんだ？」


斎藤さんは相変わらずしかめっ面だけど。


「斎藤さんにも苦手なものがあるんですね」


「…いいだろ別に」


素っ気なく言われてしまった。


「でも良かったです。
これからも斎藤さんと話せますもん」


それが何より嬉しいんだ……。


「あのさ…」


ふいに切り出されて、斎藤さんのほうを向く。


「″一″って呼んでよ」


「え…？」


「呼び名。俺も苗字より名前で呼んで欲しい」


そう言って少し照れくさそうに笑う。