遥か~新選組桜華伝~
五 意地悪と優しさ
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元治元年(1864年)、4月。
私がここへ来て数か月の時が流れた。
京の町も、雪解けとともに桜が咲き始めている。
新選組の皆さんと迎える初めての春──。
とある晴れた日の午前。
医務室にて。
「それでは沖田くん、遥さん。これを頼みますね」
山崎さんが一枚の紙を手渡してくる。
「手当て用のお酒に、サラシに、漢方薬が3種類…。
わかりました、調達してきます」
一礼して、私達は医務室を出た。
今日は珍しく私も沖田さんも非番の日。
二人で剣の稽古をしていたところ、山崎さんにお遣いを頼まれたんだ。