遥か~新選組桜華伝~
医療班だけでなく、監察の仕事もこなしている山崎さん。
休みもとらずに働いていることを、私達は知ってる。
医療班所属の私はもちろん、沖田さんも快く引き受けてくれた。
けれど……。
沖田さん自身もほとんどの休みを遥空探しに費やしている。
皆に秘密にしているだけで、本当は彼が一番激務だと思う。
だから、お遣いは私一人で行くと言ったのに……。
「遥さんにとって屯所の外は危険です。僕がついていったほう安心でしょう?」
と、彼は自分より私を心配してくれた。
未来へ帰る方法も見つからない、遥空がいつ攻めてくるかもわからない。
そんな毎日でも、私が安心して笑っていられるのは、
新選組の皆さん…そして何より沖田さんのおかげ。
ありがとうの言葉なんかじゃ足りないよ……。
二人で玄関に向かう縁側を歩いていると、偶然近藤さんとすれ違った。
「総司、遥。おまえら何処か行くのか?」
私服姿の私達を見て、近藤さんが尋ねてくる。