遥か~新選組桜華伝~


しばらく歩いて町並みを抜けると、川にたどり着いた。


その向こうに古い神社があって、立派な桜の木に囲まれている。


「満開だっ」


タタタッとかけ寄って木を見上げると、桜のピンクが空の青に映えている。


「わぁ……!」


幻想的な景色に、感嘆のため息が漏れた。


「綺麗ですね」


隣に並んで目を細めている沖田さん。


「ほんとに……。
日々の疲れが癒されますね」


山南さんが微笑むと、皆も笑顔で頷いた。


しばらく桜を眺めた後、川原でお弁当を食べることにした。


川原は私達の他にも、お花見にきたお客さん達で賑わっている。


「よっしゃー!飲むぞー食うぞー!」


永倉さんがお酒を片手に握り飯を頬張る横で、井上さんが重箱の一段を差し出してくる。


「はい、これが遥さんの分です」


「ありがとございます。いただきます!」


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